向精神薬の依存性、多剤処方、長期入院問題に疑問を持ち、精神科の医師になりました。普段より、依存性が高い抗不安薬(いわゆる安定剤)をなるべく処方せず、処方するにしても慎重に、短期間の使用を心がけています。また抗精神病薬もなるべく単剤で最小限の処方を心がけ、もし必要がなくなれば少しずつ減薬をすすめております。
現代社会は日々ストレスが多く、こころの病に至る過程には激しい葛藤や大きな喪失を体験することがよくあります。症状に対して薬を処方するだけでなくこころの病に至ったつらい出来事や、自分ではどうすることもできなかった出来事など、その方の背景にも耳を傾けたいと思います。
しかしながら、どうしても症状のコントロールのために、少なくない薬剤を必要とする患者さんも、一定数いらっしゃいます。そのような方にも、漢方薬も併用し、様々な角度からアプローチできればと考えております。
何回かの通院で薬が合い、すぐに心療内科を卒業される方もいらっしゃいます。基本的には「卒業できる心療内科」を目指すつもりです。しかしながら、多くの場合において、こころの病やその周辺の症状を治すことは一筋縄ではいきません。
「治す」というよりも、「病気とつきあっていく」という姿勢になることがよくあります。少しでもそのお手伝いができればと考えております。